てのひらの空

もう朝が来ないような
冷たい夜の真ん中で
壊れた懐中電灯を
握ったまま立ち尽くす

ひとりだって頑張れる
そう言い聞かせてきたけれど
こんなに暗い世界では
一歩も前に進めない

そうしてまぶたを閉じたとき
僕の心の奥深く
ぽかぽかと灯ってる
小さな明かりを見つけたよ

あの頃と同じように
にこにこ笑う君の明かり
君の明かりはいつだって
僕のところへ届いてた

そっとまぶたを開いてみると
遠い空の向こうがわ
ぽかぽかと灯ってる
みんなの明かりがあったんだ

しんと寂しいこの夜を
藍色に染める明かりたち
僕はいつも照らされて
ここまで歩いてきたんだね

次は僕が明かりになるよ
たとえ気づかなくてもいい
君がまぶたをとじたとき
静かに心を灯すよう

小さな小さな明かりになろう
君を照らす明かりになろう

※ この詩は、2012年2月5日、NPO法人グラウンドワーク福岡主催の花のジョイントコンサートで朗読していただきました。